私の会社は一応DX(デジタルトランスフォーメーション)関連銘柄にあげられております。会社もお客さんにDX化の提案をしておりますし、私が担当しているプロジェクトもDXといえるのかもしれません。
でも実際に何をしているのかというと、紙で廻っている50~100程度ある申請フローを、あるパッケージソフトを利用してシステム化するというものです。
もちろん紙⇒システムに変更される事で申請してから承認までの時間は短縮されますし、紙の保管に関わる様々なコストも削減はできますので顧客にとっては業務の効率化、コスト削減というメリットがあります。
しかし窓口となる顧客に、そもそも情報リテラシーがないので、紙をそのままシステムに変更するように求めてくるだけでして、100近い申請~承認プロセスを共通化して更なる効率化を図ろうとか、そういう踏み込みがないんですよね。
そして私たちSIerと呼ばれているベンダーも顧客と喧嘩までして効率性を追求、提案するよりも、今の要件をそもまま受け入れて要望通りにシステム化してあげるだけの方が楽であり、お金にもなるんですよね。予算をもっている顧客の担当者もプロジェクトが成功すれば自分の手柄になるわけですし。。。
そしてシステムが運用に乗り始めると、フローの変更なり、新しいフローが追加されるても、ベンダーなしでは顧客は何もできなくなる。ベンダーも維持保守費という名目でチャリンチャリンとお金をいただく事になります。(もうこの時にはプロジェクトは解散して保守の担当者に引き継がれているのが一般的です。)
結局そういう保守の積み重ねで顧客はシステムコストを支払い続ける事となり、コスト削減ってなんだったの???という事を何年、何十年も繰り返しているのです。
本当はシステム化を計画するときに、もっと踏み込んだシステムデザインを検討しておけば、こんな事にならずに済んだのにと当時の担当者は何してたんだ!!と引き継いだ保守担当者は憤る事になります。でも、顧客、ベンダーもシステム導入時の担当者はいなくなり誰も過去の経緯、責任を問われる事もなく、ベンダーとユーザのなあなあな関係が続いていく。
はたしてこんなのがDX化というものなのでしょうかね。実際にシステムに携わるベンダーの立場からすると昔から仕事のやり方変わってないなというのが実感です。
もちろんスマホの普及を中心として私たちの生活は格段に便利になったと思いますが、そうではないこんな泥臭い仕事で顧客からお金をいただいている会社も多数存在しているのです。
DXという名でいかにも先進的で未来を切り開いていく、そんなイメージだけの会社ではない事を十分に意識して投資する企業を選別していくべきだと思います。