投資、資産運用に関してSNSを利用されている方は手数料には普通にシビアで、銀行や郵貯の投信手数料は高いから手を出してはいけない。また株式の委託手数料も店頭(死語かもしれませんが)で申し込みなどせずネット証券で発注すればいいだけで、そんな事は当たり前で語るのも無意味かもしれません。
でもなぜ、そのように手数料が高い商品がラインナップされているのか?
私が金融関係のシステムに関わった事があり、そこから差し障りのない範囲でこんな事をやっているから手数料が高くなる。というのを紹介したいと思います。
まず年代別の金融資産額の統計がこのようになっています。
※金融広報中央委員会から引用。
・この中でITリテラシーが低い年代は?といえば70代以上ですよね?
・しかも金融資産は50代よりも高いのです。
・誰しも将来への不安は持っていて、70代ももちろん不安をあるのです。
そんなお客さんをターゲットに「少しでも資産運用いかがでしょう?」と銀行、郵貯、証券会社等の営業マン、窓口担当が人海戦術で勧誘をしてくるのです。
過去に高齢者を狙った詐欺まがいの勧誘もあり、金融庁からも目をつけられているため、それなりにコンプライアンスルールはきちんとしてます。
コンプライアンスルールがしっかりしているからこそ、そこに莫大なコストがかかってくるのです。
例えば、投資信託を75歳以上の高齢者へ勧誘するような場合、高齢者に対する勧誘ルールが設定されており、以下のように様々な人の関与が発生します。
◆支店からお客さま(投資家)へアプローチ
投資家ご本人へ商品説明資料(目論見書、パンフレット)を持参して説明します。
ネットで完結する場合、PDFで目論見書確認した事で注文OKとなりますが、対面ではそうはいきません。(目論見書も印刷物が必要でここでもコストかかります。)
営業マンがきちんと商品を説明したからと言って注文できるという事にはなりません。
支店から高齢者の注文の申請を出し会社で承認されない注文できないのです。
その際、「本人に商品説明、リスク等を説明したのか?」はもとより。
「そもそもご本人が理解、判断できる方なのか?」
「できないなら、ご家族同席で説明。了承をもらったのか?」
このあたりが問われます。
さらに営業マン一人で完結するのも信用されておらず、
「営業マンだけでなく、その上司も同行して説明した事。了承された事を確認したのか?」
を問われたり。
また、
「この勧誘はお客様に訪問しての勧誘なのか?」
「それとも電話で勧誘したのものなのか?」
こんな事を申請書にすべて記入した上で承認をもらう事になります。
もう一段、厳しくチェックする場合は、第三者的に監査ができる管理者を営業店に置き、営業マン→支店長→管理者という3重のチェックが流れる会社もあります。
◆支店から本店へ承認申請
ただしこれでOKではありません。支店の中で閉じてしまうと、営業成績優先で不正が行われる可能性があるので。
この申請は本店の専門部隊(コンプライアンス部)が審査をします。
本店では営業マンへの聞き取りを行ったり。電話で勧誘したのならその通話記録を確認して適切な勧誘行為が行われているかチェックします。
そこで問題ないと判断されれば、審査OKとなります。
これで始めて、投信の買付注文が可能になります。
1つの注文に対して、これだけチェックする人もシステムも必要になるのです。
これ普通にうまくいってもこの段階を踏むので、書類に不備があったり、審査ではねられると再トライとなり増々、人・時間がかかるのです。
こういうコストが積み上がるから、自然と手数料の高い商品を勧めざるを得なくなるのです。
ただ元をたどると、営業マンが色々不正するから金融庁もチェックを厳しくてきた。
結果、金融機関はコストがかかるようになり、それを投資家に転嫁している。
という悪循環があるのです。
対面での営業は気を付けましょうという事です。