読むのに少々時間がかかりました。
私たちが普段接する情報は人間の性悪説がメインとなる事件、歴史が多いです。この本では本来人間は善である(性善説)という事実をさまざまな事例をもとに解説をしています。
Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章
著:ルトガー・ブレグマン
本の案内から。
近現代の社会思想は、”性悪説”で動いてきた。
・ホッブズいわく「万人の万人に対する闘争」
・アダム・スミスによると、人は損得勘定で動くホモエコノミクス
・ダーウィンが唱えた、自然淘汰説
・ドーキンスは『利己的な遺伝子』を執筆
・少年たちのいじめ本性を描いた『蠅の王』がノーベル文学賞
また”性悪説”を裏付けるような心理学実験や人類学の調査がなされてきた。
・スタンフォード監獄実験(人は役割で容易に悪人になれる)
・ミルグラムの電気ショック実験(ナチス「凡庸な悪」の説明根拠に)
・イースター島絶滅の謎(内戦が理由とされ人肉食説すら唱えられた)
だが、これらは本当か。著者は、”暗い人間観”を裏付ける定説の真偽を確かめるべく
世界中を飛び回り、関係者に話を聞き、エビデンスを集めたところ意外な結果に辿り着く。
テレビ、ネット、書物などは、いかに悲惨な事、残酷な事、悪意に満ちた真相、こういう情報があふれています。このような内容の方が刺激的であり、私もそうですが一般の大衆には受けがよいのかと思います。
しかしながら、人間の本質はどうなのか?困っている人がいたらちょっと声をかけたり、顔見知りの人と会えば挨拶したり、何かしらの助けをしてもらったら「ありがとう」という一言をいう。そんな人たちがほとんどではないのでしょうか?ただ、こんな性善説前提の話は退屈なものになってしまうため表にでてくることが少ないのでしょう。
人の本質は善なのだ。という事が理解できるのではないでしょうか。
エンタテイメント性があるわけでも、刺激的な内容でもないので、スラスラとは読めませんが、じっくり読むとなるほど納得できる内容です。(良い本だなと思います。)
お薦め度は★★★★☆です。